
真っ暗な部屋の中。
赤い暗室用セーフライトが、濃い麦茶色の現像液を満たしたパッドを照らす。
そこに露光を終えた印画紙を、裏面しにして滑らすように浸す。
紙全部が現像液に浸かったら、表面にひっくり返す。
すると、ネガフィルムを反転したイメージが、ぬめぬめと浮かび上がってくる。
早い。あまりにもイメージが浮かび上がってくるのが早い。
暗室時計を見てみるが、まだ20秒くらいしか経っていない。
引き伸ばし時の露光時間が長すぎたか...
黒つぶれし、グレー部分も焼きすぎで粒子が粗くなってしまった印画紙を、しぶしぶ眺めている。
とても定着液に浸ける気が起こらない。
失敗である。
暗室で小さなため息が漏れる。
コンタクトプリントの猫が、私をじーっと見ている。
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