
いつも行く休憩場所に、緑電話が置いてある。
エレベータの横で、ほとんど休憩する人はいない。
でも、椅子がしっかりしているので、軽く休むにはもってこいの
場所と思う。
ご年配の方からの声が聞こえてきた。
「もしもし、A子よ。用件だけ伝えるね」
「一万円振り込んでおいたから使ってね」
「え?引き落としてない?」
「明日は土曜日よ。郵便局に振り込んだんだから!どうするの?」
「今300円しか持ってないのよ。S台までいくら掛かると思ってるの?」
「そっちも大変だろうけど、こっちも大変なのよ」
「分かって」
...
...
...
「お母さんね。この前ジュエリー買ったのよ」
「だから一万円しか送れないのよ。ごめんね」
...
...
...
ガチャン。
しーん。
受話器が置かれると、急にもとの世界が辺り一面に戻ってきたような
感覚に襲われた。
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